『Temple of Void / Lords of Death』

どうもどうも。アナログです。こんにちは。
今日のレコードは「Temple of Void / Lords of Death」デス!YesYesYes!
アナログメタル的に今年の大本命アルバムなのデス!

早速聴いてみたんだけど、これ優勝でよろしいかと。控えめに。
 
 

カバーアートはPaolo Girardi すごくいいカバーアート。しかし凄いペースで描いてる気がする。


目が回る限定盤。
 
 

デトロイトアンダーグランドから世界へ

アメリカはミシガン州デトロイト出身のドゥームデスメタル。2017年 2ndアルバム。Shadow Kingdom Records よりリリース。メンバーは以下の5人ですが今作のレコーディング終了後ギターのEric Blanchard氏は脱退し現在はDon Durr氏が新たに加入しています。

Alex Awn – Guitar
Eric Blanchard – Guitar
Mike Erdody – Vocals
Jason Pearce – Drums
Brent Satterly – Bass
 

冒頭からいきなり本音が出てしまいましたが、恐らくほとんどの方が”Temple of Void”を知らないと思うので簡単に説明したいと思います。

音楽性は端的に言うとドゥームデスメタルです。ドゥームデスといっても色々ルーツがあり、人それぞれ感じ方が違うので説明するのが難しい。”Temple of Void”の場合、同系バンドとしてフィンランドのドゥームデス”Hooded Menace”とよく比較されるのですが、僕は似ているとは思わない。双方”Celtic Frost”を起源とするオールドスクールデスメタル勢がルーツであることは間違いないのですが、00年代に起こったオールドスクールデス及びドゥーデス再評価の文脈とは少し違うように思える。”Temple of Void”のリフはエピックな響きを重視し、メロディは「フューネラル」というよりは「耽美的」と言えます。そうです、僕は”Temple of Void”の直近のルーツはUKゴシックドゥームデスにあると言いたいのです。


メンバーはほぼ無名ですがデトロイトのアンダーグランドシーンで音楽活動をしていたそうで、現にこのファーストアルバム「Of Terror and the Supernatural」発表の時点で楽曲面で素晴らしいクオリティを誇っています。名盤デス!
 
Peacevilleバンドらのダークさ、”Paradise Lost”のメランコリックさと”Saint Vitus”的な骨太アメリカンドゥームの融合。これが “Temple of Void” の音楽性であると僕は結論付けた。
 
 

アメリカンゴシックの確立  心をへし折る重厚なる抒情詩。

超重量級のリフが残忍性と破滅的衝動にかられ破壊の限りを尽くす。
びっくりデス! 僕の予想ではメランコリック度をアップして、もっとポピュラーな作品になると思っていたけど、全く逆だ。”Temple of Void”のテーマは「死、空虚、宇宙」であり、根底にあるのはデスメタルとドゥームメタルの尊厳なのだと改めて思い知らされた。暗部へと深化したこの重厚な抒情詩こそ彼らの本来の姿なのだと。
 
 

 
 
アグレッシブかつブルータルなドゥームへとシフトしたが、前作同様”Paradise Lost”他ゴシックメタルの影響は節々で感じます。むしろキャッチーさが激減したことでゴシック調メロディが一層重要な役割を果たし楽曲を引き締める。変態じゃないけど退廃的な美やメランコリックなメロディに対して官能的であるとさえ感じる。その性格が最も表れているは#B3(#7)の「Graven Desires」でしょう。恐らくこのアルバムのハイライトになる曲であり、まさにRAWデス + スラッジ + ゴシックが三位一体となったようなサウンドで重厚な抒情詩に心をズタズタにされながら感動している。


 
 
流行りも廃りもなく脈々と受け継がれる音楽性。古典的だが “Temple of Void” は唯一無二の存在になりつつある。別の言い方をすれば、現在の奇抜な音楽性のみが先進的と評価される流れに一石を投じているのかもしれない。大袈裟すぎるだろうか? Great!!! x 666