『Memoriam / For the Fallen』

“Bolt Thrower”
その名を知らぬものはいないであろうUKデスメタル界の重鎮。しかし、2015年ドラマーMartin “Kiddie” Kearnsの急逝によりその歴史の幕は閉じることになる。

だが、”Bolt Thrower”の意志は潰えない
本日紹介のレコードは「Memoriam / For the Fallen」デス!

 

カバーアートは巨匠Dan Seagrave スバラしい!


このメンバーの渋さよ。 わかりづらいけど渋い深緑盤が届きました。Amazonで購入。

 

ポスト”Bolt Thrower”なのか?

昨年、惜しくも解散してしまった“Bolt Thrower”のボーカルのKarl Willettsが初期”Bolt Thrower”のドラムスAndrew Whaleと“Benediction”のベースFrank Healy、元“Cerebral Fix”ギターScott Fairfaxらと共に結成した新バンド。
2017年 1stアルバム。Nuclear Blastよりリリース。

僕にとっても”Bolt Thrower”は大好きなバンドなので解散ニュースはとてもショックでした。
だからこそボーカルのKarl Willettsがすぐに戻ってきたことは嬉しいし、それはもうめちゃくちゃ期待しているバンドです。なのでここは正直に思ったことを書きたい。

まず最初に感じたことは、良い意味でも悪い意味でも裏切られたかなと。
悪い方からいうと期待してたような”Bolt Thrower”サウンドではなかった。
では、良い方はというと「これは”Bolt Thrower”ではない」ということ。
 

轟音の鎮魂歌

結成直後に発売された7インチEP(War Rages OnとResistanceのデモが収録)を聴いたとき、僕自身も間違いなくポスト”Bolt Thrower”だと思いましたが、このアルバムを聴くと印象は変わってくる。
“Bolt Thrower”との一番の違いは中期以降ウォーデスメタルとしてクドイほど聴かされた高揚感を煽る展開、勝利へのカタルシスともいうべきエピックなフレーズが少ないことです。塹壕戦ような重苦しさ、少し言い方は悪くなるが敗戦濃厚の中、最後の命令を待つかのような沈鬱な雰囲気に包まれている。もちろん”Bolt Thrower”と類似点もあるけど、よりダークな作品といった印象。

地味と言えば地味。しかし決して悪いわけではない。初期”Bolt Thrower”とまでは言わないけどかなりハードコア色が強く肌をヒリつかせる危険な魅力がある。重くダークな雰囲気と小気味よいノリとのバランスがちょうどいい。僕はなんとなく”Napalm Death”の「Diatribes」を思い出しました。ちなみに僕は「Diatribes」好きデス(か、かかってきやがれ!)。

本音を言うと”Bolt Thrower”を続けて欲しいのですが、Karl Willettsが「Memoriam」で追悼し続ける、あるいは「いぶし銀のデスメタル」を貫くというのならばそれを全力で支持するのみ。かな。