『Ruinous / Graves of Ceaseless Death』
どうもどうも、アナログです。こんにちは。
さて、まだ目ぼしい新譜は出ていませんので、しばらくは昨年リリースされらレコードやカセットを紹介しようと思います。ということで、本日のレコードは「Ruinous / Graves of Ceaseless Death」デス。このバンドも昨年強烈なインパクトを残しました。
カバーアートはDaniel Corcuera 凄い。この方の絵、どんどん上手くなっている。
Incantation, Funebrarum, Disma… そして新たな刺客が放たれた
アメリカはニュージャージー出身のオールドスクールデスメタル。2016年 1stアルバム。
Dark Descent Recordsよりリリース。
バンドメンバーはShawn Eldridge、Alex Bouks、Matt Medeiros の3人ですが、下記の経歴見てください。
何でしょうか。まるで将軍家の印籠でも突きつけられているような気分。ここはひれ伏すべきか。
Shawn Eldridge – Drums
See also: Abysmal Gates, Death Fortress, Wall of Water, ex-Seraphim Lament, ex-Disma, ex-Funebrarum, ex-Kalopsia, ex-Shadows of Dawn, ex-The Ciem Show, ex-Woe, ex-Flesh Mantle, ex-Nights Blood
Alex Bouks – Guitars
See also: Immolation, Master (live), ex-Goreaphobia, ex-Rise to Offend, ex-Funebrarum, ex-Incantation
Matt Medeiros – Vocals, Guitars
See also: Fire from the Altar, Kalopsia, ex-Funebrarum
※「Metallum」より引用
「上様の名を騙る不届き者め」とか逆切れすると成敗されてしまいそうなので、素直に土下座して事を収めるべし。コレは本物ですよ。
深淵世界への入り口は開かれた。
元Incantation, Funebrarum, Disma のベテラン3人が集まったニューバンドということで、内容はIncantation直系の邪悪で暴虐性に満ちたドゥームデスメタルかと思っていたのですが、良い意味で裏切られました。Ruinous は Incantation の単なるコピーバンドではありません。
第一印象としてはザクザクと音の輪郭がはっきりとしているので曲調を捉えやすくとても聴きやすい。オールドスクールデスメタル特有の腐敗臭気はあるけど全体的にはスラッシュメタル、もしくはハードコアを聴くような感性で耳に入ってくるのです。邪悪だけれど爽快感があるという不思議な感じ。
話は変わりますが、オールドスクールデスメタルと一口に言っても色々なタイプがいます。
アメリカ、イギリス、スウェーデンといった国柄から、Autopsy型、Bolt Thrower型、Entombed型、Cannibal Corpse, Obituary, Death~、スラッシュ、ドゥーム、ハードコア、テクニカル~、ザクザク、ゴリゴリ、ドロドロ、デロデロなどなど、それはもう個性豊かで人それぞれ思い入れも違うと思います。
でも、恐らくですけど、オールドスクールデスメタルは好きだけど「Incantation、Immolation 等の純然な邪悪さを売りにしているデスメタルはちょっと苦手かも」という人は多いのではないでしょうか。僕自身も最初はダメでしたけど、その邪悪な音の中にある先進的、前衛的な音楽性に耳を傾けることにより世界観は確実に広まりました。さらに言うのならば、Incantation系に芸術性を見出すとオールドスクールデスメタルのみならずスラッジ、ドゥーム、ポストブラックメタルなど「Decibel Magazine」等の外国メディアが掲載する現在のメタルシーン全般をより一層深く楽しめると思うのですが……、でも、やはり邪悪すぎていきなりは……
そこで!? この「Ruinous」の出番ってわけデス!
キレキレのデススラッシャーでありながらIncantationの闇へと通じる音楽性も併せ持つ。深淵の芸術世界を知りたい方から、もう戻れない方までオススメできる奇跡的な一枚デス。もう、一緒に土下座するしかないよ。Great!!!