針を落とすと溢れ出す轟音
吃驚の音場に慌ててターンテーブルの回転数を確認する
セレクターが示す数値は 33 1/3 rpm
思わず笑みがこぼれる
『Asphyx / Incoming Death』
お待たせいたしました。本日紹介のレコードは「Asphyx / Incoming Death」デス!
ダッチ(オランダ)デスメタルの重鎮とし名を馳せる Asphyx の2016年通算9枚目のスタジオアルバム。
ミックス&マスタリングは Dan Swanö が担当。レーベルはお馴染みの Century Media Records。
現メンバーは
Martin van Drunen – Vocals
Paul Baayens – Guitars
Alwin Zuur – Bass
Stefan Hüskens – Drums
カバーアートはAxel Hermann Morgoth、Unleashedなど手がけてきたベテランデザイナー。
自ら上げたハードルは自らで超える Asphyxの全盛期来たれり!
前アルバムを上回る速度で疾走する「Candiru」で幕を開ける。
今作も爆走ナンバーで固められたアルバムなのかと思いきや、聴き終えてみるとスラッシュからスローテンポまで均整のとれたアルバムになっていました。
大半の曲はミドルテンポが主体となっているため、全体の印象としては「モッサリ気味」と感じるかもしれません。
爆発力あるデススラッシュ部分のみを評価するならば前作「Deathhammer」の方がインパクトは強い。
しかし、その他の要素。3rd~5thアルバム「Asphyx」「God Cries」「Embrace the Death」で培った Asphyx を形成する上で重要なファクター。すなわちドゥーム、ゴシック、フューネラル、ハードコアなど、それこそアルバム毎に修正してきたAsphyxの実験的音楽性がこの一枚に凝縮されていると感じました。
ある時はBlack Sabbath的ドゥーム。ある時は神々しいゴシック調。そして怒り狂うミッドグルーヴ。
その流れは洗練されており、以前のような不精巧なB級感はまったく無い。
メンバーは入れ替われど、Asphyxの音楽性は受け継がれ深化する。
Asphyxの挑戦はこれからも続くのデス。God!!!
以前にアップした全アルバム評も参考にどうぞ「Asphyx / Album Discography」