10月デス。今年も残り3か月ですがここにきて話題作が続々リリース&予定されてます。
Opeth、Sodom、Neurosis、Alcest、In Flames、Meshuggah、Running Wild、Testament…
そしてなんとMETALLICAまで新譜を出すというではありませんか。
しかも新曲が予想外にカッコよくて頭抱えてる……
ホント、今年はヤバい。
いやいや、Metallica話をしにきたのではなくて、アナログメタルが注目しているのはオランダの重鎮 “Asphyx” ですよ。
もうすぐニューアルバム「Incoming Death」が発売なんデス!発売したのかな?
しかし、日本ではAsphyxの存在感が薄い。Autopsy、Bolt Thrower、Obituary、Incantationに比べかなり薄い。これはイカンのです。
Asphyxにはデスメタルの大切な全てのことが詰まっているんだよ。
でも、多くの人がそれに気付かないんだ。
そこで「Asphyx に興味があるけど、どのアルバムから買ったらいいの? ニューアルバム買って凄くよかったけど次どれ買えばいいの? 」という方のためにアルバムをまとめてみました。
あくまで Asphyx 入門ということでマニア向けの記事ではありません。
主観的ですがどうぞ。
Asphyx / Album Discography
The Rack : 1991年 1st(Century Media)
★★★★
Martin van Drunen – Vocals, Bass
Eric Daniels – Guitars
Bob Bagchus – Drums
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記念すべきファーストアルバム。Celtic Frostをルーツとするデスメタル。Autopsy、Bolt Thrower とよく比較されますが、僕は Obituary が一番近い存在だと思っています。アップテンポ、ミッドテンポから急激に落とし込むドゥームな展開を得意とし、ニュースクールハードコアやスラムデスにも通じるサウンドが特徴です。神々しいメロディをいち早く導入している点も注目です。オールドスクールデスメタルの基本として押さえておきたい名盤です。
Last One on Earth : 1992年 2nd(Century Media)
★★★★★
Martin van Drunen – Vocals
Eric Daniels – Guitars
Bob Bagchus – Drums
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前作と方向性は変わらずだが、あらゆる面でパワーアップ(冒涜的)。高揚感あるデススラッシュパート、キャッチーなハードコアグルーヴからドゥーミーサウンドまで高低差が激しくなり狂暴化。カオティックな雰囲気さえある。特に#7「Food For The Ignorant」はライヴでやればフロアは地獄と化すでしょう。初期オールドスクールデスメタルの中でも屈指の名盤と言える出来です。
Asphyx : 1994年 3rd(Century Media)
★★★
Eric Daniels – Guitars
Sander van Hoof – Drums
Ron van Pol – Vocals, Bass
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メンバーチェンジがあり音楽性も様変わり。緩急あるハードコアな展開は激減しました。代わりにという訳ではないですが宗教的、葬儀的なメロディなど実験要素を取り入れ、またボーカル交代の影響もあり初期 “Tiamat” のようなドゥームデスの印象が強い作品です。聴き終えてみればAsphyxそのものであるし、新境地への挑戦という意味では素晴らしいのですが粗削りであることは否めません。
God Cries : 1996年 4th(Century Media)
★★
Bob Bagchus – Drums
Theo Loomans – Vocals, Guitars, Bass
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何だこれは! と驚いたアルバム。前作のドゥーム路線とは175度違う方向を見ている。かといって初期の音楽性に戻ったということではなくオルタナ・ハードコア・デスロール・グラインドとハチャメチャに爆走する。HM-2を使えばスウェデスになりそうな勢い。Asphyx名義でなければ素晴らしいアルバムなのだが……
Embrace the Death : 1996年 5th(Century Media)
★★★
Eric Daniels – Guitars
Bob Bagchus – Drums
Theo Loomans – Vocals, Bass
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Eric Daniels(Gt)が復帰し再びドゥーム/デスメタル路線へと戻る。今度はゴシックメタルのような音楽性を新たに取り入れ荘厳な雰囲気を醸し出す。ギターソロは弱メランコリックで初期Paradise Lostを彷彿させます。今作もまた紛れもなくAsphyxでありながら荘厳耽美な要素を取り入れ、個人的には大好きな路線です。しかし、客観的にみればなかなか押しづらいアルバムです。
On the Wings of Inferno : 2000年 6th(Century Media)
★★★
Eric Daniels – Guitars
Bob Bagchus – Drums
Wannes Gubbels – Vocals, Bass
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今作は原点回帰を目指したかのようなアルバムです。原点へ起動修正しつつテクニカルな一面も覗かせるようになり”DEATH”のようなフレーズも聴くことができます。クドさは無く結構あっさり聴けるアルバムです。「ここからAsphyx快進撃が」のはずがバンドはここで解散してしまいました。
Death… the Brutal Way : 2009年 7th(Century Media)
★★★★★
Martin van Drunen – Vocals
Bob Bagchus – Drums
Paul Baayens – Guitars
Wannes Gubbels – Bass, Vocals
8年ぶりに沈黙を破る。1st、2nd時のボーカルMartin van Drunenを中心に再結成。そして往年のAsphyx節も復活!久々のアルバムですが演奏は衰えるどころかタイトで一流の重量級のデスメタルサウンドを聴かせてくれます。もちろんハードコア成分も復活。地を這うドゥームサウンド、神々しいメロディも生きてます。天から地へと真っ逆さま、深淵の底まで叩き落とす。素晴らしい復活作です。
Deathhammer : 2012年 8th(Century Media)
★★★★★
Bob Bagchus – Drums
Martin van Drunen – Vocals
Paul Baayens – Guitars
Alwin Zuur – Bass
完全復活!!! どころか前作までのアルバムを完璧に過去の物とする傑作です。★10個くらいつけたい。
新境地へ挑むかのような疾走感が凄まじい。もちろんドゥームな展開もあり魅力的ですけど、今作ばかりは破壊的に疾走する姿勢に感服です。ライヴでモッシュピット、サークルピットが入り乱れるカオスな場を想像するだけで鼻血が出そう。重鎮の意地ここにあり!
サクッと全アルバムを紹介しましたけどいかがでしたでしょうか。
さて、どのアルバムから買えばいいのかって話に戻しますと、やはり最初は1stアルバム「The Rack」がいいと思います。基本ですので。次は2nd「Last One on Earth」あるいは近代的な8th「Deathhammer」まで飛ばしてもいいと思います。
オールドスクールデスメタル x Asphyx
「オールドスクールデスメタル」という呼び名は世界中でジャンルとし定着しましたが、実際は時代の流れと共にゆっくりと進化し続けているのです。若手はもちろんベテランとて例外ではありません。注目されるバンドはそれなりに理由があるのです。
Asphyxにはジリジリのアンダーグラウンドサウンドを基軸に死臭ドゥーム、キャッチーなスラッシュ疾走、アクセントとなるメロディ、ハードコアのアグレッシブさなど積極的に取り入れ、アルバムごとに挑戦する精神などオールドスクールデスメタルにとって大切な事すべてが詰まっていると思うのです。
決してメロディアスではなく日本のシーンに適合しているとは言えませんが、Asphyx他オールドスクールデスメタルに興味を抱いてくれれば幸いデス。
以上、アナログメタル的「Asphyx」のアルバム紹介でした。