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『Izah / Sistere』

「メタル泣」

どうも、こんにちは。今日は秋が深まりの寂しさが増すこの季節にピッタリの一枚をご紹介。Izah / Sistere
この作品、ヤバイ匂いがプンプンするね。なんだか″Mogwai″の「Rock Action」と同じ匂いがするぞ。名盤の匂いってやつです!  風邪気味で鼻が詰まっていますけどね。

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カバーアートはメンバーの一人Twan Bastiaansen 壁に飾っておきたいくらいイイ感じ。

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当初予定していた色はリリースされませんでした。その理由は後ほど。

 

涙腺崩壊 哀愁のネーデルラント・スラッジ

オランダ、アトモスフェリック・スラッジ 2015年 1stアルバム。メンバーはTijs van Wegberg – drums, Frans Terhorst – bass, Twan Bastiaansen – guitar, Roel van Oosterhout – guitar, Michel de Jong – synth / guitar, Sierk Entius – vocals / synthの6人。結成は2006年、過去にEPやスプリットCDを出しております。

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狂気を孕んだ極限の美しさ 全4曲72分の物語

重厚かつ繊細な音壁、明と暗の相対性、聡明な単音ギターと冷厳なトレモロリフ、破壊的スラッジグルーヴと夢幻のサイケ感、咆哮グロウルとエモーショナルな声音。それぞれの音が干渉し一つの物語を形成する。

静と動の鼓動は均衡しているがどちらも破滅的衝動に駆られ、互いに崩壊へと向かう。

 

このアルバムは、かなりの緊張を強いられます。曲は美しいのだが常に空気が張り詰めており、いつ爆発するかわからない狂気に心が押し潰されそうです。ストーリー性を引き立てる「人々の会話」「罵声」「泣き声」「悲鳴」などがSEとして挿入され、ノイズ音と共に切迫した緊張感を演出するのです。この悲痛なまでの嘆きを聴いていると正直いたたまれなくなる。映画「レクイエム・フォー・ドリーム」を見た時と同じ感覚である。これが約72分間続くのだからたまったもんじゃない。たまったものではありませんが、何度でも聴きたくなるのは人の破滅願望に訴えるものがある故か。この映画のような物語を楽しむため今回はデジタル音源で一気に聴くことをオススメします。

終盤、絶望から救われるような展開に涙腺は崩壊。卑怯なほどに美しい。

今年一番の注目作。ポストロックと捉えても名盤と呼べる傑作です。アナログも自信を持ってオススメ出来る一枚デス!!!

 

「Record Store Day」 今一度考える

このアルバムは今年の2月にデジタルでリリースし、瞬く間にBandcamp内で話題となりました。各レビューサイトでも絶賛され僕も一発で気に入りすぐにアナログ盤を予約しました。

しかし、本来4月発売を予定していたアナログ盤ですが、待てども待てども発送されません。これは何かトラブッたなと思っているとお詫びのメールが届きました。内容を要約するとRecord Store Dayの影響(大量受注)でプレス工場からキャンセルされた。申し訳ないがリリースが遅れるという事でした。結局僕の手元に届いたのは9月に入ってからです。また当初の予定ではイエロー&グリーンバイナル2枚組でしたがクリアグリーン1色に変更になりました。

Izahの一方的な情報を信じるのもどうかと思いますが、Record Store Dayについてはインディーレーベルやインディーバンドから少なからず悲鳴が聞こえているのも事実です。大手がこの日のためにプレス工場を抑え、この期間にレコードをリリースできないレーベルやアーティストがいることも知ってほしい。

そもそも、街の小さなレコード店を助ける目的で始まったRSDが有名バンド、大手レーベル、大手販売店のための商業イベントになっていることはみなさんも薄々感じていることでしょう。

いやいや、RSDや商業主義を否定してどうするんだ。問題はそこじゃない。問題は個々の意識の方だ。
自分も意気揚々とRSD限定レコード買ってブログで報告していましたが、本来の意味を今一度考えて行動しようってことです。さらなるレコード普及と業界活性のためにも。

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リリースが大幅に遅れたり、盤の色が変わったりしましたが、無事レコードが届いてよかったです。
あと、バンド側から Izah / Fire Walk with Us のスプリットCDがお詫びにと付いていました。なんだかこちらの方が申し訳なくなってきた……。