『Arenna / Given to Emptiness』
「サイケ x プログレ」
1960年代、ドラッグによる幻覚作用を体現したロック。サイケデリックロック。
ループするリズムワークとファズギター、幾重に連なる幻想的な音により展開される小宇宙……
さて、時は2015年。現代に受け継がれるサイケデリックロックとはどのような音なのか?
今日紹介のレコードはサイケデリックなロック Arenna / Given to Emptiness 知覚の扉は今、開かれる!
カバーアートは Khoa Le 素晴らしいの一言。キノコ感溢れるジャケが最高デス!
レコーディングはデジタルとアナログ。ミックス&マスタリングはアナログで行ったそうです。レコードで聴く意味がありそうです。
ストーナー + サイケデリック + プログレ = Arenna
スペイン出身のサイケデリック/ストーナー/プログレ バンド 2015年 2ndアルバム。2008年結成、メンバーはJavi: (ba), Guille(dr), Txus Dr. Sax: (vo), R. Ruiz del Portal:(gt), Kike:(gt) の5人。今作ではメロトロンやテルミンの演奏者他多数がゲスト参加しております。
新人ドゥーム・ストーナーロックをBandcamp内で探していたら素晴らしいバンドに巡り合いました。一体何者? 新鋭ではないみたいですが、一曲試聴しただけで脳汁垂れ流し。ついでに漏らしましたよ。内緒ですけど。
サイケデリックロックをよりヘヴィに、よりダーティーに、そして幽玄な世界へ。
ダーティに歪んだギターの濁流と、美しく響くメロトロン等のせせらぎ、静動の調和が混沌へと誘う。またその調和と対比による楽曲は、現実と精神世界を一本の糸で繋いだような緊張感に満ちています。
1stもついでに聴いてみたところ、今作はサイケ・ストーナーロックからプログレ方面へと舵を切ったようです。古典的サイケデリックロックの手法に現代プログレやポストロック、シューゲイザーバンドのような美しく緻密に練られたメロディを融合させ、ヘヴィでありながら幽玄な世界へと導くことに成功しております。
そしてTxus Dr. Saxのボーカルも特筆すべき点でしょうか。美声でも格別上手いわけでもありません。しかし、“Marillion” の ″Steve Hogarth″ のように繊細に歌うメロディラインが土着的で印象深い。最初は苦手意識を抱くかもしれませんけど、最後まで聴けば虜になっていることでしょう。
こんなに素晴らしいバンドが存在していたとは。まだまだ、自分の知らない世界があります。そして無限に広がっていくようです。サイケファン、ストーナーファン、そしてプログレファンの方々、是非聴いてみて下さい。すばらしい世界が待っています。