アナログ・レコードの魅力
今回紹介するレコードは名盤 Black Sabbath / Master of Reality と言っても内容をレビューする訳ではなく、レコードで音楽を聴くようになってから1年ということで雑記デス。テーマは「スローミュージック、スローライフ」。先日、丸々一日、自分の時間を作れたので好きな事に没頭しておりました。そんな時にふと思ったことデス。
次の一手を模索する音楽産業
ヨーロッパや北米ではストリーミングサービス『Spotify』の台頭によりCDはもちろんiTunesのダウンロードコンテンツさえ2014年度は前年比マイナス成長となり、過去のものになりつつあります。
ストリーミングサービスはダウンロードやエンコードする煩わしさからも解放するでしょうし、より多くの知らない音楽もお金と時間をかけずに楽しめる合理的なサービスです。
『Spotify』は音楽産業復活への希望か、それとも衰退を加速させているのか、その是非はともかく確実に言えることは、アナログからデジタル(CD)へ、CDからダウンロードへ、ダウンロードからストリーミングへと、多くの人はカジュアルに、合理的に音楽を聴くことを好むという事です。
しかし、不思議な事にレコードの売り上げは世界的にも好調だそうです。
自分も流行に乗りレコードに魅了された一人ですが、いったいレコードの何が人々を魅了するのしょうか?
『Black Sabbath / Master of Reality』
冒頭から何かキモく語りだしたけれど、今日のテーマはスローミュージックだったはず。ということで、今日はBlack Sabbath / Master of Reality ドゥームだけにね。
Matrix : WWA008B-1 NEL 6004-B1 どうやら1976年Ireland産のようです。オリジナル盤は高すぎて手が出ないけれど再販盤ならばお手頃な価格で入手できます。オリジナル盤とは比較できないけれど低音が良い響きDeath!
ヘヴィメタルの幕開けを宣言したと言える名盤。この Master of Realityを使ってアナログメタル流にスローミュージック、スローライフを実践してみようと思います。何をするのかと言うと、この素晴らしいレコードの音を録音してしまおうと企んでいます。
PCに24bit/96kHzで取り込んでハイレゾ化だ! とかではなくて、今日はレコードからカセットテープに録音するのDeath! (な、何のために……)
はい、カセット買ってきました! みるからに音が悪そうですが気にしない。
中古で買ったTC-K333ESGが唸る! オーバーホール済みなので動作も快調。いろいろツマミがありますが、とりあえずノーマルで録音。ちゃんと録音されているか少しだけモニターしてみる。大丈夫!
ついでにジャケとラベルも作って完成! 自分で言うのも何ですが、なかなかの パチモン臭 出来! もちろん誰にも譲りません。Not for Sale Death! って誰も欲しがらないか。
早速、聴いてみました。ラジカセの音しか知らないのでこの音にはびっくりしました。自分で録音したカセットと言うとヒスノイズだらけでピッチも安定しない、そんな音しか記憶になかったのですが、これはすごい。TC-K333ESGがすごいのでしょうけど、安いテープでも十分なクオリティです。ハイポジ使ったりとか設定を詰めれば、さらにアナログの音が生きるのではないかと思います。無駄な事だと分かっていてもこれは楽しい。ちょっと癖になりそう。
スローミュージック、スローライフ
もちろんデジタルを真っ向から否定しているわけではありません。ダウンロード、ストリーミング、ハイレゾなどなど、むしろデジタルの無い生活はありえないと思っていますし便利な世の中は大歓迎デス。
それでも、スローミュージック、スローライフってことで、合理性の追求から距離を置いて音楽を楽しむのもいいものデス。ソワソワしながら中古屋に行ったり、欲しかった盤を見つけて気絶しそうになったり、買わずに後悔したり、ジャケを隅々まで眺めたり、臭いをかいだり、気取ってみたり、ジャケ買いは失敗ばかりだったり、重くて腰が痛くなったり、針飛びでビクッとしたり、でも針を通した音が心地良かったりと、あ~、やっぱり非合理的。でも、その非合理性がレコードの魅力なのかなと思ったアナログでした。
。
『時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとはしませんでした。』
出展 ミヒャエル・エンデ『モモ』、大島かおり訳 岩波少年文庫、106頁